これから不動産業に携わる人や、不動産投資家として活動していきたいと思っている人は、この事件を知っておく必要はあるでしょう。
不動産業界がどれだけ危険で悪質な業界なのかという事がわかります。
この「かぼちゃの馬車」事件は、不動産業界に大きな影響を与えました。
融資が厳しくなるなど、これから不動産投資を始める人にとっても影響があるため、しっかりとこの事件の深層について理解しておく必要があります。
そして、かぼちゃの馬車事件の被害にあったオーナーのその後についても解説いたします。
本稿はこんな方におすすめ
- かぼちゃの馬車事件ってなに?
- 不動産業界って危ないの?
- かぼちゃの馬車の被害にあったオーナーのその後は?
かぼちゃの馬車事件の真相
かぼちゃの馬車事件
問題を起こした会社
・株式会社スマートデイズ
・スルガ銀行
被害者
・高属性のサラリーマン約700人
「かぼちゃの馬車」とは、地方に出てきた若い女性がかばん一つで入居できることをコンセプトにして幅広く知られた女性専用のシェアハウスです。
女性たちの仕事を斡旋し、家賃もタダにするようなブランディング戦略でCMも繁盛していて、一見大成功しているように思えました。
株式会社スマートデイズは、不動産投資家に「かぼちゃの馬車」の話を持ち掛け、取得した土地に建てられたシェアハウスをサブリースするという事業を行っていました。
サブリースとは?
サブリースとは、物件をサブリース会社がオーナーから一括で借上げ、サブリース会社が各入居者へ転貸するという形式の管理方式で、一括借り上げの家賃保証と言われています。
このサブリース契約というものが、実はとんでもない危険な契約体系だったということは、この事件以降あらわになりました。
サブリース契約を行えば、本来オーナーがやらなければならない家賃の徴収や管理を一括でサブリース会社に任すことができる上に、空室時にも安定した家賃収入が得られるという魔法の契約です。
ただ、このような契約がうまく成立するケースは、空室がない場合のみです。
当然借り上げているサブリース会社にとって、空室時にもオーナーに安定した家賃を支払い続けなければならないとすれば、いつか破綻してしまいます。
なぜなら常に満室になっていることなんてあり得ないからです。
サブリースのもう一つの罠としては、『万が一の場合には、家賃を減らすことができる』契約となっていることです。
そして、いかなる時も管理会社の都合で契約を解約することだってできるのです。
マネーリテラシーが低い人ほど、このサブリースの罠に気づくことができずに今回のような事件に巻き込まれてしまったのです。
ではなぜスマートデイズ社が破産してしまったのか。
それは、サブリース形態に問題があったわけではありません。
このサブリース事業自体が赤字経営だったからです。
スマートデイズ社が破産したことによって、もちろんオーナーの収益も0になってしまいます。
ローンは入居者の家賃収入から返済していたため、収入がなくなり自己破産してしまうオーナーが続出してしまったのです。
そのため、サブリース契約そのものの制度が原因でスマートデイズ社が破産したのではなくて、赤字経営だったから破産してしまったのです。
現状もサブリース契約は一般的にある事業ですが、この事件を機に悪評が広まってしまったという事です。
ふたを開けてみれば、サブリース契約は空室が発生したら家賃を下げることができるため、サブリース会社はほぼノーリスクで事業を行うことができる優位な契約だったのです。
そしてこの事件に大きく加担していたのが、スルガ銀行です。
このように赤字経営を行っていたスマートデイズ社は、多額の建築費で収益を賄っていました。
要は、安く建てられる建物を、請負工事会社から土地オーナーに倍以上の見積を出して高額で建てさせ、その差分を紹介手数料として儲けていたのです。
これをキックバックと言いますが、スマートデイズ社は50%という異常に高い率のキックバックを受け取っていました。
サブリースは赤字覚悟で土地オーナーに強引な提案を行い、無理矢理シェアハウスを建てさせ、キックバックで儲けていたということになります。
ただ、入居者がほとんどいなかったためサブリース事業がうまくいかず、赤字分をキックバックで賄いきれずに破産してしまったという事です。
このように赤字経営であることを銀行が知って入れば、お金を貸してはいけません。
なおかつこれだけ倍近くの建築費を上乗せしていたので、購入者は多額な金額の融資を受けなければなりません。
それでもなお、これだけのサラリーマンが融資を受けることができたのは何故でしょう。
スマートデイズ社はサラリーマンの収入を偽造し、審査を通りやすくしていました。
スルガ銀行はこの事実を知っていました。
つまり、スルガ銀行はスマートデイズ社の赤字経営を知っていながら融資を行っていた可能性があるのです。
建築費が高くなれば銀行にとっては融資額も増え、儲かります。
銀行が融資するのは、かぼちゃの馬車を買ったオーナーです。
今回であれば高属性のサラリーマン。
スマートデイズ社が破産したとしても、スルガ銀行はオーナーから毎月の返済をもらいます。
家賃収入が入らなくなったサラリーマンは、この多額のローンを自己資金で返済していかなければなりません。
かぼちゃの馬車の物件価格は1億4000万程です。
スマートデイズ社は何としてでも契約させるため、通帳を偽造してまで融資を受けさせました。
スルガ銀行は多額の融資を行えば、その分大儲けできると通帳の偽造に目をつぶり、緩い審査で通したという事です。
1人あたり1億5000万の融資を行えば、ぼろ儲けですよね。
そして、ある日を境にスルガ銀行が融資をストップして、スマートデイズ社は家を建てるサラリーマンから得たキックバックに追いつけなくなり破産したというイメージです。
今は株式会社スマートデイズは倒産しましたが、スルガ銀行は上層部が解任したのちに経営を続けています。
なぜスルガ銀行は倒産しないのか。
スルガ銀行は、通帳を改ざんした事実をこの事件が発覚してから知ったと供述しているため、被害者面をしているからです。
こちらの真相について、本当は赤字経営を知っていながら積極的に融資していた、もしくはスマートデイズ社との癒着が裏にあったなどの疑問の声が相次いでいます。
「かぼちゃの馬車」オーナーのその後について
スマートデイズ社が底を付き始めたのが2017年10月頃で、2018年1月にはサブリース賃料の支払いが完全にストップ、同年4月に民事再生手続きを申請します。
2018年4月に、この一件を問題視した金融庁がスルガ銀行に立入検査に入りました。
2018年10月には金融庁からスルガ銀行に対して行政処分が下された以降、どうなったのかについてはあまり触れられていませんでしたが、2020年3月25日、スルガ銀行とシェアハウスオーナーが解決方法で合意したのです。
正式に借金帳消しが決まりました。
不動産購入向けの融資と不動産を「相殺」するという、つまり土地と建物の物納を条件に借金を帳消しにしました。
しかし、かぼちゃの馬車を購入した270名ほどのサラリーマンのみの処置となっているため、他から融資を受けている購入者はたくさんいます。
今後、他の被害者の救済にも取り組むとのことですが、今回の事件は単なる投資の失敗だったのか詐欺事件だったのか波紋をよんでいます。
まとめ
不動産業界はとても危険で悪質です。
住居ようの住宅ローンとして融資をうけさせてり
年収を偽造して融資をうけさせたり
資産を捏造したり
物件価格を捏造したり
恐喝して物件を買わせたり
売るための手段を択ばないのが不動産業界です。
今回は高所属のサラリーマンがターゲットになりましたが、その中の多くはマネーリテラシーが低かったと言われています。
不動産投資家にとっては、このような物件に投資をすること自体リスクだという事はわかっていた話であるため、無知のまま不動産を行うことがどれだけリスクかということが、世に広まった事例だったのではないかと思います。
あくまで投資は自己責任です。
リターンに伴うリスクがあるからこそ勉強しなければなりません。
今回の事件は今後不動産投資を行う人たちにとっての見せしめとなった事例ではないかと思います。
何事も知識を身に着けることは大切ですね。